2. 微生物の探索を基盤とする微生物の潜在機能の開拓

 

微生物油脂の大量生産系の開発

アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA:プロスタグランジンの前駆体)などの高度不飽和脂肪酸を、医薬品や機能性食品として利用する動きが最近活発化しているが、これまでその豊富な供給源は知られていなかった。

微生物界にその供給源を求め探索した結果、Mortierella属カビが、アラキドン酸を著量生産する事を見出した。

さらに培養条件の制御や変異株の育種により、ジホモ-γ-リノレン酸やEPAなど様々な高度不飽和脂肪酸の選択的な生産も実現した。これらは10,000リットル培養装置で実用レベルの生産実験を行っている。

また、新たな機能性油脂の生産を目指し、様々な微生物の探索をさらに行っている。

さらに、高度不飽和脂肪酸生合成に関与する酵素および遺伝子レベルでの解析も進めている。

 


 

シャーレ上の白いバラ シャーレ上の菌

<寒天平板培地上でのMortierella属糸状菌のコロニー形成>

Mortierella属はMortierella (A)とMicromucor (B)の2亜属に分けられる

 

(A)Mortierella亜属(Mortierella alpina 1S-4)の菌株は平板培地ではバラの花のように美しいコロニーをつくる

この亜属はすべてアラキドン酸など炭素数20の脂肪酸を生産するが、

(B)Micromucor亜属(Mortierella isabelina CBS 194.28)は炭素数18以下の脂肪酸しか生産しない

(A) Mortierella alpina 1S-4 (B) Mortierella isabelina CBS 194.28  
シャーレ上の赤いバラ シャーレ上の菌

<テトラゾリウム塩を含む寒天培地上でのMortierella属糸状菌の生育>

 

(A) Triphenyltetrazolium chloride (TTC)を含む培地にM. alpina 1S-4を生育させると菌糸中の油脂が赤く染まり、油脂の著量蓄積が観察できる

 

(B) 同じ培地で生育したM. isabellina CBS 194.28

(A) Mortierella alpina 1S-4 (B) Mortierella isabelina CBS 194.28  

菌糸の写真Mortierella alpina 1S-4の菌糸中に蓄積した油滴>

 

菌糸中に蓄積した無数の油滴が観察できる

 

 

 

 

油脂を菌体外に分泌する変異株の発見

油脂の大量生産系に関して、油脂高蓄積性微生物に油脂の大量分泌という生物学の歴史を振り返っても例を見ない現象を見出した

シャーレの写真 菌糸の写真

1S-4 = Mortierella alpina 1S-4株

V6 = 1S-4株の変異体

菌糸の写真

 

 

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